事例14 パートナーと遺産で大紛争
- 4月16日
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まず、今回弊社に依頼があった経緯を説明する。邦人男性G氏が自身所有のコンドミニアムの部屋で死亡、通報者はG氏の同居者であるというタイ人男性J氏。J氏や周囲の関係者によって、大使館と日本の親族へ連絡がされた。G氏の妹であるT氏がご子息と来タイし葬儀、火葬して遺骨を日本へ持ち帰るという経緯であったが、そこでトラブルが発生。T氏(G氏妹)が大使館に相談へ行き、あるホテルのコーヒーショップにて弊社立会いの下、話し合いの場が持たれるに至った。
参加者はT氏、T氏のご子息、J氏とJ氏の友人、弊社から2人。
どうやらG氏のタイにおける資産の分与について、タイ側J氏やその周囲の邦人から、かなり口うるさく言われていた模様。弊社が証人として立会いの下、タイにおけるG氏の財産相続について取り決めを行いたいとのこと。
G氏のタイにおける資産は、数行の銀行口座預金、スクンビットのコンドミニアム。
実はJ氏とG氏は10数年生活を共にししてきたパートナーであり、同性での結婚が出来なかっただけで、事実上は夫婦のような関係だった。そのためG氏の財産について50%の分与を主張。
法律上は夫婦でも親族でもないのでJ氏に相続権は無かったが、相続執行人をT氏とし裁判所の手続きを行う、ということで参加者全員が合意。弊社は合意に至った今回の話し合いの証人となる。
しかし、T氏を相続執行人として手続きをする為に書類の作成を進めてる矢先、J氏よりJ氏の妹を相続執行人としてT氏との共同名義人にしてほしいとの要望が入る。
日本側としては、全く関係の無いJ氏の妹という人物を共同名義人にと要望するJ氏に疑念を持つとともに、当初の合意した内容と相違があるので拒否。
すると、J氏は、預金通帳の資料提出・コンドミニアムの権利証の譲渡を拒否。「それぞれの銀行残高は自分たちで調べろ」「コンドミニアムについては半分所有権利を有している」と主張。
この態度に激怒したT氏はJ氏抜きで相続執行人手続きを進めることを決め、裁判所提出資料を揃えて提出。無事に相続執行人として任命され、裁判所より書類が発行される。
ただし、それぞれの銀行残高は不明なままなので、2003年にG氏により作成された当時の預金口座一覧を元に弊社が調査。
銀行よっては「預金額の詳細を相続執行人本人にしか教えることができない」というケースもあり、相続執行人であるT氏を伴って銀行に確認し預金額が判明する場合もあった。また、既に無くなっている銀行、統合されて名前が変わっている銀行、2003年の資料にない新しい口座の発覚などもあり、預金口座の把握に2週間ほど要した。
タイの銀行口座開設に関しては、コールセンター詐欺(振り込め詐欺)や資金洗浄に利用が増加したことから、以前のようにパスポートだけでの銀行口座の開設が不可となったため、遺産相続で解約した口座預金が、小切手で振り出されてから現金化する必要があるとしても通常通りの口座開設を許可してくれた銀行は一行だけ。
銀行によって対応は異なり、「G氏の口座を解約した際に預金が小切手として発行されるが、小切手を入金して現金化したら即閉鎖、他行の小切手は入金不可」という条件での口座開設であったり、「現金での受け渡しとする」ということで、口座開設不可の銀行もあった。
いずれも昨今のトクリュウ、コールセンター詐欺の横行による口座の不正使用防止の為に厳しくなっているとの事。
コンドミニアム売却の際には現金取引より、振り込みや小切手でのやり取りの方が便利である。そこでT氏に来タイ日程を組んでもらい、4~5日かけて、複数行の口座解約手続きを終え、T氏の開設した口座に小切手の入金まで完了。
小切手が現金化されてから、再度日程を組んでご親族等と来タイ頂き、1部タイバーツを引き出し、日本円に両替して現金で日本へお持ち帰りいただく。
コンドミニアムの処理(管理費の清算、部屋の片づけや修理など)に支払いが発生するであろうことも見据えて、必要分だけ口座に残して、これまでに数回引き出して日本へお持ち帰りいただいている状況。
コンドミニアムは、もしJ氏が所有権・遺産分配について訴えを起こした場合、解決するまで裁判所が故人(G氏)の口座の凍結をする可能性を考慮し、口座解約手続きが終了後に手続き開始することとしていた。すべての口座解約完了を弁護士に連絡、その後弁護士よりコンドミニアムの権利証と鍵の返却を求める通知を書面にてJ氏に送付。J氏側も弁護士を雇ったようで、J氏側からは半分権利を有すると主張する内容で書面による返答が為され、弁護士と数度のやり取り後、当方から民事裁判所へ訴えを起こし、裁判所にて双方の話し合いに至る。
J氏側が土地局からの市場価格を参考にした売却額の半分を主張。しかし、T氏は売却額の10%のみを分配と返答。数度裁判所出廷での話し合いでJ氏側は200万Bと分配価格を下げてきたが、Tさん側は売却額の10%のみを分配と譲らず、合意せず。2025年7月に裁判所出廷による公判が行われることになり、T氏出廷の為、来タイ。
J氏側は、売却額の10%よりも低い金額の分配を判決として判事より申し渡される懸念もあったようで、200万Bもあきらめて、合意による解決に方向転換。判事よりT氏にその打診があり、「このまま裁判を続けてもすぐ解決せず、裁判費用がかかる、その度に日本から来タイしなければならない、控訴審になると更に費用がかかる。100万Bの分与でJ氏側にもこれで合意して終わらせる、という確約をしているので、これで内容を詰めて合意としたらどうか?」とのこと。
弁護士とも話し合い、コンドミニアムが売却完了した際に100万BをJ氏側に分与する、本日から数えて3か月以内にコンドミニアムの権利証、鍵、預金通帳を返却しコンドミニアムから退去する。コンドミニアムの管理費はお互いに半分づつ支払う、云々の取り決めがなされて無事合意。裁判所から発行された書類にお互い署名し終了。
現在、J氏側からコンドミニアムの権利証、鍵、預金通帳を返却待ち。
日数を超えても返却されない、退去しない場合は訴えて強制措置、遺産分配もなしとなる。コンドミニアムが売れるまでは、まだ時間がかかりそうだ。





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